甲田 恵子 氏

甲田 恵子 氏

「外大に行けば英語が喋れるようになる」 そんなに甘くはない現実に直面。

 どこの大学のどの学部に行けば4年間の学生生活を通じて一番成果が出るんだろうかと考えた時、外大に行けば英語ぐらいは喋れるようになり、世界をフィールドに働けるようになるんじゃないかと思ったのが、私が外大に行こうと思ったきっかけでした。ところが(皆さんお気づきの通り(笑))、外大に行けば英語が喋れるようになる、なんてことはありませんよね。それに焦りを感じた私は、来日外国人向けクラスへの編入を試みました。しかし、このクラスで学ぶことといえば、当然、来日外国人用の授業なので日本のことばかり。しかも、外国人は日本語を学びに来ている訳ですから、英語を学びたい私にとっての勉強にはあまりなりませんでした。そこで、これはもう「留学するしかないな」と決意します。また、どうせ行くなら私費留学ではなく大学の推薦を得て行きたいと思い、その後は、図書館と視聴覚室にこもってひたすらTOEFLを含む勉強に注力する毎日が続きました。

 当時の視聴覚室では、人気のあった英語の映画を、英語字幕付きで見られたんですね(今では家庭用DVDなどで普通に見られるようになりましたが、当時は、日本語字幕付きはあっても英語字幕付きはめずらしかったように記憶しています)。 そこで、私の場合は、『The Bodyguard』や『E.T.』、『Pretty Woman』を丸暗記するぐらい見ました。それだけでTOEFLの点数がみるみるうちに上がっていくようになり、結果、念願の留学枠を無事獲得することができました。

Anything is possible in America.

 最初の1カ月は多少のホームシックにもなりましたが、とにかく欲張って、よく遊び、よく学びました。日本人の友達と一緒にいると楽ですが、できるだけ楽な道を取らず、現地の文化や慣習の中で暮らすように努めました。その甲斐もあり、アメリカでは、"Anything is possible in America."というポジティブな思考があるゆえに何でもやってみることに価値があるということや、思っているだけではだれも何も理解してくれないので自分から言葉と態度でしっかり伝えなくてはいけない、ということを学ぶことができました。

全国から同志を募り、「AsMama」創業を決意

 卒業後、独立行政法人や一般企業でさまざまな経験を積み、2009年11月、「一人ひとりがライフステージに応じて、頼ったり支えたりすることで自己実現できる社会の仕組みを創ろう」と全国から同志を募り、AsMamaを創業。

 世の中には、子育てや介護など、ライフステージに応じた支援を得られれば自分自身のやりたいことができるという人と、その一方で、経験や知識を生かして社会で役立ち、自尊心やいくばくかの収入を得たいと思う人がいます。しかし、この両者がほとんどそれぞれの相方を見つけることができず、孤軍奮闘していることに気づきました。そこで、この両者が出会う機会と仕組みをつくることができれば、一人ひとりの経済的・精神的豊かさを実現できる大きな社会課題解決型事業になるのではないかと思ったのです。さらに、多数の人たちのニーズを満たすサービスさえできれば、必ず事業としても成功するに違いない、と考え、根拠はなくとも確信をもって創業することを決意しました。

全国で年間1,000回もの親子交流機会を創出

 少子高齢化時代を迎える今日、子育てを頼れないことが原因で女性が離職し、結果として世帯収入が下がることで多子出産をあきらめたり、男性が世帯収入を賄うために長時間労働を強いられるようになったり、さらには、子育てにおいて家庭の役割が重要なことは間違いありませんが、その責任を家庭だけに押しつけてしまうと、子どもたちが多様性や社会性を学ぶ機会を逸することになってしまったりと、子育てを共助できる社会の仕組みが必要になってきているのは間違いありません。そのような社会情勢もあり、今では、多企業・多団体と協働しながら、全国で年間1,000回もの親子交流機会を創出しています。さらに、登録料も手数料も一切無料でありながら、全支援者に最高5,000万円の保険が適用されている顔見知り同士が子どもの送迎や託児を頼りあう仕組み「子育てシェア」の普及も進めています。

 AsMamaは、全国に500人以上もの従業員を持ちながら、全員がリモートワーク(在宅勤務)。世の中を良くする大人たちの姿を子どもたちにも見せてあげたい、という理由から、AsMamaでは子育てをしながら仕事をすることも推奨しています。時間も比較的自由で、10時から15時までのコアタイム以外は完全にフレックスで、「社会課題を解決する」または「そのための活動資金を得る」ということのための成果効果に1分1秒を費やしてほしいと思っています。なので、従業員は北海道から沖縄まで点在していますし、家族の都合で引っ越しをするなどという報告を受けても「あ、そう。で、ネットがつながらないときはあるの?」と聞く程度です。長期の海外旅行や介護などでも、仕事さえできれば問題ありません。

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何かをやって失敗するリスクは限りなくゼロに近いが 何もしないリスクは必ず自分に返ってくる

 20代で学んだことは、30代になってから応用が利くようになり、40歳になる頃には、どんな20歳からの20年を過ごしてきたかで、明らかに残りの半生の道しるべに差異が出てきます。20代のうちは本人が思うどんな失敗も、全てただの経験でしかなく、大した失敗はありません。何かをやって失敗するリスクなんて限りなくゼロですが、何もしないリスクは必ず自分に返ってきます。もう誰かが何とかしてくれる時代は終わり、自分たちで自分たちの道を拓きながら生きる時代。これから社会に出る学生の皆さん、がむしゃらに、自分のために、そして自分の大切な人たちのために、自分が何をして生きていくのかに真っ向勝負で頑張ってください!

甲田 恵子 (こうだ けいこ)氏 プロフィール

関西外大卒業後、環境事業団(現独立行政法人環境再生保全機構)にて役員秘書と国際協力室を併任。2000年ニフティ株式会社に転職し、海外事業部の立ち上げ及び渉外を担当。在職時にビジネスモデル特許を多数発案。2005年4月に長女を出産し、翌年4月の復職後は、上場・IR主担当を拝命。2007年にベンチャー投資会社ngi group株式会社(現ユナイテッド株式会社)に転職し、広報・IR室長に就任。会社都合で2009年に同社を退社。「一人ひとりがライフステージに応じて、頼ったり支えたりすることで自己実現できる社会の仕組みを創ろう」と全国から同志を募り、同年11月、AsMamaを創業し代表取締役社長就任(現任)。2016年、一般社団法人シェアリングエコノミー協会理事就任(現任)。著書に「ワンコインの子育てシェアが社会を変える!」「子育ては頼っていいんです~共育て共育ち白書」がある。苦手なもの「暇」。

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