戸谷 由加子

  • 日本トランスシティ株式会社
  • 通関部
  • 戸谷 由加子
  • 2005年 外国語学部 スペイン語学科 卒業
戸谷 由加子

卒業後10年以上経過した今も繋がる大切な仲間たちとの出会い

 学生時代は、学校行事の実行委員に参加し、主に新入生歓迎会、文化博覧会、外大祭といった行事の企画・運営を担当しました。部活動ではないものの、毎日同じメンバーと顔を合わせ、ひとつのものを作り上げていく作業は、とても楽しく、達成感があったのを覚えています。

 例えば外大祭では、100名弱の企画部メンバーがいくつかの班に分かれ、複数のイベントを企画します。同じような企画ばかりでは見に来てくれる方が楽しめないので、さまざまなアイデアを出し合った上で内容を話し合います。人数が多いと、それに比例して多くのアイデアも出るので、イベントの方向性を取りまとめるのは大変でした。また、参加型のイベントでは、内向的な日本人の特徴が出ていたのか、イベント内容が実行委員の自己満足になっていたのかは分かりませんが、参加者集めには苦労しました。でも、そのような状況の中で無事にイベントを進行することができた時の達成感は、今でも鮮明に記憶に残っています。

 卒業して10年以上が経過した今でも繋がっていられる大切な仲間たちとの出会いは、学生時代の一番の思い出です。

同じ大学への二度の留学を経験

 2回生の後期に、スペインのバリャドリッド大学へ短期留学をしました。さらに、帰国後に交換留学の試験を受け、3回生から4回生にかけて、再びバリャドリッド大学に留学しました。同じ大学に二度留学する学生はあまりいないかと思いますが、私はそういう運命でした。何かと不安の多い長期留学ですが、私の場合、一度目の留学で土地勘があり、治安も分かっている上に、ホストファミリーや大学の先生など頼れる人たちもいたことで、渡航前の心配事も渡航後のホームシックもなく留学生活を過ごせました。また、3回生から所属していたゼミでは、テーマを決めて論文を書くことが教授の方針だったのですが、留学先のバリャドリッドはキリスト教の聖週間という行事がスペイン国内でも有名な街であったため、迷うことなくそれをテーマにしました。現地で聖週間を過ごし、関連資料を読み、実際に参加する人たちを取材しました(帰国後も改めて現地に出向いて情報収集などを行いました)。取材相手の中にたまたま新聞記者の方がいて、現地新聞の逆取材を受けて新聞記事にしていただいたのは、いい思い出になりました。

到達目標を目指してPDCAサイクルを繰り返す

 まず、到達目標を立て、それに向けて計画的に小さい目標を一つずつクリアしていく、ということを学生時代に身につけ、それが今でも生かされています。スペインの首都もよく知らない、スペイン語の単語すら何も知らない、というゼロの状態でスペイン語学科に入学したのですが、外大に入ったからには留学はしたいという気持ちだけは強く持っていました。入学直後の授業で4年間の過ごし方について考える機会があり、まず、3回生の後期から長期留学をするという到達目標を立てました。それから、1回生の前期には必修科目の単位は落とさないようにする、後期には2回生からCPEに入る、2回生には、夏休みごろに一度スペインを知る、3回生で長期留学に合格(到達目標を達成)する、という計画的な目標を立て、確実にクリアしていきました。 社会に出てからも、通関士試験に合格するという目標や、会社の制度で義務付けられている年度初めに設定する5つの年間の目標など、到達点を目指してPDCAサイクルを繰り返すという行動が、自然とできるようになりました。

先輩社員の話に刺激を受けて決意した通関士資格の取得

 卒業後、物流業の会社に就職し、海外から到着した貨物の輸入申告と、それに関連する業務全般の代行を行っています。入社後、配属となった部署で8年間、乙仲業務と呼ばれる貨物の輸出入手配に携わりました。日々、ルーティンで回る業務内容でしたが、取引先の方々と直接電話でやり取りするなど、やりがいを感じられる仕事でした。その間には、入社後の研修での先輩社員の話に刺激を受けて通関士資格を取ることを決心し、3度の受験を経て(入社4年目に)通関士試験に合格しました。

 そして、入社9年目に、現在の通関部に異動となりました。文字通り、通関だけを専門に行う部署です。資格は持っていたものの実務経験がなかったため、3年間の輸入申告書作成の下積みを経て、通関士として輸入申告業務を任せられるようになり、10年でやっと一人前、と言われる専門的な業務のスタートラインにようやく立つことができました。幅広い知識と経験が求められる仕事ですので、気が遠くなりそうな勉強漬けの毎日ですが、とても充実した日々を送っています。

物流業界との出会い

 実は、就職活動を始めたころは、恥ずかしながら、「将来の夢」というものがなく、どのような業界に就職したいのかもはっきりとしていませんでした。そこで、消去法でやりたくないことを絞りこんでから説明会に参加するようにしていました。外大生なら一度は夢見る「語学を生かせる仕事」というものに私も憧れを持っていましたが、在学中の留学経験も、実際の仕事に生かせるほどの語学力は習得はできておらず、現実はそう優しいものではありませんでした。そこで、せめて少しでも海外との繋がりを持っていたいという気持ちから、いくつかの業界を見ていく中、物流業界に出会いました。 私の海外と繋がりたいという希望が叶い、かつ、人が生活していくのになくてはならない業界、ということを実感し、この業界への就職を決めました。

より広い視野を持って業務内容の幅を拡げていきたい

  専門的な業務のスタートラインに立てたところですが、少しでもこの仕事を極められるように頑張って行きたいと思っています。自分の努力次第の部分もありますが、時間を掛けて経験を積むことも必要な仕事ですので、じっくりと取り組んでいきたいと思います。さらに、今の会社は、一般職で入社した後、キャリアを希望する場合には試験を受けてランクアップが可能なコースチャレンジ制度という制度も充実しています。とてもタイムリーなことに、つい先日の内示で、その試験の合格をいただきました。7月からは総合職として勤務することになりますので、微力でも自分のできることを確実にこなしつつ、より広い視野を持って業務内容の幅を拡げていきたいと思っています。
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細やかな気遣いのできる女性にこそ活躍できる業界

  外大生の皆さんの中には、私のように物流業界に興味を持たれている方も多くいらっしゃるかと思います。 私がこの業界に就職を決めた理由のひとつである「人が生活していくのになくてはならない業界」というだけあって、物流業界と一言に言っても、国内の仕事から、港湾関係、国際関係など、さまざまな業務があり、多くのことを経験する機会に恵まれている業界だと思います。 また、外大生は比較的女性の割合が多いので、これは女性の皆さんに向けたメッセージになりますが、 今では社会で活躍する女性が多いなか、通関業界の勉強会や交流会に参加すると、本当に多くの女性が活躍していると実感します。 法律の下での仕事なので、難しい仕事であることに間違いはありませんが、男性より細やかな気遣いのできる女性に向く仕事とも言われています(現に私の職場も7-8割が女性です)。 私も同業の交流会で、外大出身の先輩とお会いしたことがありますが、いつか、後輩である皆さんに出会える機会に恵まれたらいいな、と思っています。頑張ってください!

掲載:2016年10月