宗吉 勝正

  • 宗吉 勝正税理士事務所
  • 税理士
  • 宗吉 勝正
  • 1971年 関西外国語短期大学 米英語科二部 卒業
宗吉 勝正

税務の職場にも必ず必要になると感じた語学力(英語)の能力

 1968年4月に国家公務員(税務職員)に採用となり、枚方市香里ケ丘にあった税務大学校に入学。ここで税務職員として必要な知識である税法、各種法律科目、簿記会計学、経済学等を学び、現場の勤務となりました。しかし、元々英語の教師志望であったことに加え、いずれ税務の職場にも語学力(英語)が必ず必要になるとの思いで、短大二部(万代学舎)に入学しました。

 関西外大での学生時代の一番の思い出は、言語学、音声学、ビズニスイングリッシュといった科目との出合いだと思います。とても興味をもってそれらに取り組んだことを、今でも覚えています。中でも、外国人の先生の実用英語の時に後ろの方の席に座ると、必ずといっていいほど指名されるので、途中から一番前の席で授業を受けた懐かしい想い出もあります。

厳しくもやり甲斐ある国税の世界

 20代は主に法人税の税務調査に携わっていましたが、1979年に国税庁に出向(転勤)となり、中央(霞が関)での税務行政全体の課題の把握と改革に取り組みました。着任当初は、真夜中までの勤務(国会対応等、2時や3時があたりまえという世界でした)に耐えがたい感はありましたが、それでも、中央から各地方の現場の税務行政の運営の現状を見て、各種改革作業に取り組みました。厳しかったですが、同時にやり甲斐のある仕事だったのも事実です。

 特に思い出すのは、国際取引の拡大に国税の対応が遅れていたこともあり、税務行政の国際化への対応に取り組んだことです。語学(英語)の研修制度、長期海外出張制度、国際課税部門の強化など、国税組織の改編や海外取引の課税の充実に向けた運営の見直しといった山積みの課題解決に、関西外大で学んだ2年間の経験は非常に役に立ちました。

 平成の時代に入ってからは、インターネットが普及し、無店舗販売など課税漏れが想定されたため、当時「サイバー税務署」とマスコミに言われた「インターネット取引の専門調査チーム」を立ち上げ、ネット取引の課税漏れを暴いていったことも、忘れられない経験です。

増加する国際取引に係る課税上の問題

 税務職員として、その後は、総務・人事といった組織の体制づくりや大法人調査、税務署長として現場の指揮を執るなど、いろいろな経験を積み、お陰様で最後には国税局長(高松)で退官しました。

 退官後はこれまでに培った税務の経験を活かし、企業の社外監査役や税務顧問として企業経営者のサポートを行っています。経済のグローバル化が加速するにつれ、移転価格税制やタックスヘイブン課税など、国際取引に係る課税上の問題が増加し、こうした相談が年々増している状況にあると感じます。

 今後の目標としては、毎年改正になる税法を理解し、顧問先のアドバイスに十二分に応えられるよう、税務の専門家として元気で過ごしていきたいと願っています。
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語学力・プレゼン力のある人材が求められる世界

 グローバル化・複雑化する日本経済において、高度な語学力やプレゼンテーション能力が求められているのは間違いありません。現在、税務職員として求められているのも、このような能力を有した人材です。関西外大の卒業生として税務の職場で頑張り、国税局長までさせていただいた私としては、このような能力に自信のある人には、ぜひ、国税専門官試験を受け、国税の職場で活躍してほしいと熱望しています。これからこの業界を目指そうと思っている皆さんの活躍、大いに期待しています。

掲載:2014年12月