山本 雄司

  • 立邦投資有限公司
    (日本ペイントホールデイングス株式会社中国現地法人)
  • 経営企画部
  • 山本 雄司
  • 2008年 国際言語学部 国際言語コミュニケーション学科 卒業
山本 雄司

野球も語学修得も、どちらも満足のいくものに

 学生時代は体育会の硬式野球部に所属していました。高校野球のように厳しい練習を強いられるというわけではなく、自身の自己管理、自己実現の思いの元で部が運営されていましたので、アルバイトや勉学のために退部する部員も多数いました。

 大学2年生の頃、半年間の中国留学をしようと決断しました。しかし、野球部では前例がなかったため、私も例に倣い、長期不在による部全体への影響等も考慮し、一度は退部も考えました。しかし、当時の先輩やチームメートの支えもあり、継続して在籍させてもらえることになりました。大学時代は選手としては大した成績は残せませんでしたが、野球も、語学修得も、どちらも私にとって満足のいくものになりました。このような経験をさせてもらった大学、野球部には大変感謝しています。
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蛍雪精神でコツコツ努力を重ねた留学生活

 上述の通り、大学2年生の頃、中国の天津にある南開大学へ約半年間留学しました。初めての海外が、当時まだ経済発展の真っ只中であった天津。いきなり半年間、そのような環境に身を置いての生活でしたので、生活水準や文化の違いなどで大変苦行な留学生活を送りました。ただ、高校時代の校訓である蛍雪精神の元、毎日の生活から得る小さな学びを大事に積み重ねることで、今ある姿の礎としての、中国語や国際コミュニケーション能力の基本を身につけることができたと思っています。

世界のビジネスの第一線で活躍したい

 高校時代までは、造船業が盛んな愛媛の今治で育ちました。その頃、街中で造船業に関わる中国人同士が大きな声で話しているのを見かける度、この人達とコミュニケーションできたらすごいよな、と漠然と思ったのが国際言語学部に入学するきっかけでした。そして、卒業後は、その思いがますます強くなり、将来的に世界のビジネスの第一線で活躍したいとの思いから、2008年当時、既にアジアで圧倒的な知名度のあった今の会社への入社を決意しました。

 幸いにも入社1年目は自動車補修用塗料部門の企画部で海外推進チームに配属されたものの、業務に慣れてきた矢先、リーマンショック危機と同時に営業部門へ異動となり、入社時の思いとは裏腹に、長く国内の販売店への営業を担当することになったのです。思い通りではなかった異動でしたが、自身が先導役となり、お客様と社内外の方達とアグレッシブに多様なプロジェクトに取り組むことにより、営業に心底やりがいを感じ、非常に充実した毎日を送りました。

 その後は、2016年に新設された海外事業部へ異動し、最大市場である中国事業の担当と、新規市場開拓を担当。新規市場開拓では、アフリカを含めた世界市場の開拓を、企画、営業の経験と行動力をフルに活かしながら、新たな販売地域の拡大に寄与しました。そして、2019年より、中国の統括会社へ駐在となり、現在に至ります。
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「Paint Wonderful」な世界

 自動車修理用塗料の販売店営業をしていた頃の話ですが、世界に誇る日本の自動車補修用塗料の職人の技術力の高さに感銘を受け、この技術を自動車修理にだけに活用するのは非常にもったいないと日々感じていました。

 ある時、ふと家電販売店で目に留まった白色の冷蔵庫を見て、これだっ!と思いました。冷蔵庫を自分色に塗り替えたいと思っている消費者と、自動車修理工場を結びつけるビジネスを思いついたのです。当時の自分は、思いだけで動いていたこともあり、事業として社内での承認は中々得ることができませんでした。しかし、車以外を塗り替えることに抵抗を示す修理工場様や、冷蔵庫の塗り替えサービスをされている提携先との商談を何度も進める中で、課題がだんだんと明確になり、ようやく社内で承認され、新たなサービスを産み出すことができました。塗料の役割は、保護・美観・機能とよく言われますが、これに、施工とアイデアを組み合わせることによって新たな価値が産み出せるんだ、ということを知り、気持ちが高揚したのを今でも鮮明に覚えています。

 後日、購入頂いた一般消費者のお宅を訪問をした際、リビングに合う色の冷蔵庫がなかったの、と最高の笑みでお褒めの言葉をいただきました。こんな「Paint Wonderful」な世界ってあるのですね。
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世界で通用するための能力開発を継続し、企業のさらなる発展に貢献したい

 中国のオーガナイズ成長と、オーストラリア、トルコ(2019年度)の塗料会社買収を通じ、会社の規模がここ近年で急速に拡大しており、時価総額でも化学業界で2番目となり、2兆円を超えるときもある会社に成長しています。こういった環境の中、中国マーケットが全社グループに与える影響は依然大きく、その中で経営に近い位置で業務できることへの重責と同時に大きなやりがいを感じています。特にこれまで以上に各国のつながりが強固にしていく必要性がある中で、ここ中国での経験を最大限活かしていきたいと思っています。元々世界の第一線で活躍すると思ってやってきたので、今後もどういう形になるかはわかりませんが、世界で通用するための能力開発を継続し、企業のさらなる発展に貢献したいと思っています。

駐在経験の醍醐味

 これまで日本で働いていた時は、一つの事業部門の中で一つの職種、例えば営業であったり、企画であったり、ある枠の中でしか会社を見れていませんでした。しかし、中国に駐在したことで、本社全体の動きを含めた組織全体の構造であったり、製品製造のサプライチェーン、財務部門や人事部門等の機能部門の役割や各部門の繋がりがよく見渡せるようになり、その繋がりが組織の強さそのものだと感じる機会が多々あります。これは、駐在経験のある諸先輩方から聞くことですが、一つの醍醐味だと思います。そして同時に、自身の未熟さや、勉強不足で打ちのめされそうになることも多々ありますが、それらをきっと成長の糧だと思える人は、どんどん前向きに挑戦して欲しいと思います。何か困ったことあれば、後輩の皆様からの連絡、大歓迎です。

掲載:2020年5月
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