稲垣 博英

  • 大同ロジテック株式会社
  • 代表取締役社長
  • 稲垣 博英
  • 1986年 外国語学部 英米語学科 卒業
稲垣 博英

学生時代に培われたコミュニケーションやディベート力

学生の時は体育会少林寺拳法部に所属し、ほぼ部活動一色といえる日々を送りました。副将にも選ばれ組織運営の楽しさや難しさを体感するとともに、マネジメントの基礎についても考える機会を持つことができました。また、普段は家庭教師、春と夏の長期の休みの時にはデパートの店員等色々なアルバイトの経験を通して、人と接する楽しさや難しさを学びました。大学での勉強やゼミ、クラブ活動を通してコミュニケーションやディベートが得意になりました。社会に出てからも国内外を問わず、仕事をする上でこれらのスキルがとても役に立っています。

また、授業では帰国子女向けの難易度の高い科目や、英語で開講されていた一般教養科目をできる限り受講しました。こうした授業は、一般学生にとってはレベルが高く良い成績を収めることが難しいので就職活動には不利になりますが、留学をしなかったこともあり妥協はしたくなかったので、内容重視で講義の選択をしました。当時、伊藤忠商事のご出身で関西外大の教授になられた船越先生に親しくして頂きました。船越先生から色々な話をお伺いできたことも、自分の見識を広げるのにとても役立ちました。
クラブの先輩、同期達と
クラブの先輩、同期達と
クラブの夏の合宿にて
クラブの夏の合宿にて

自分が負けを認めなければ その勝負には負けていない

当時、私がいた学生寮(松風荘)に、クラブで主将を務めた同期もいました。彼とクラブ運営や将来のことなど色々な話をしたのを覚えています。彼はとても男臭い体育会系の学生でしたが、よく扁桃腺を腫らして寝込んでいました。(笑)

ある時、彼がまじめな顔で「俺はどんなに自分が追い込まれて辛くても、自分が負けを認めなければ、その勝負には負けていないのではないかと思うんや。」と言ったことがありました。私は「客観的に見て、それは負けやないの。」と思ったのですが、その考えはある意味とても前向きで、人生の糧になる言葉の様に感じました。卒業後に仕事などで「これ以上頑張れないかもしれない。」と心がくじけそうになっても、この時の彼の言葉を思い出すと、「ふっ」と笑いがこみ上げまた頑張ろうと思えました。彼自身はこのことを忘れているでしょうが、今でも私を支える言葉の一つになっています。
学生寮で寮生と
学生寮で寮生と

運動と読書

当時を振り返ってみると、運動を通して肉体的にも精神的にも自分を鍛えたことが、今の自分にとって非常にプラスになっていると思います。どんな時にも「あきらめない。負けない」という気持ちでいられるのは、学生時代の厳しいクラブ活動を耐え抜いてきたからだと思います。

学生の時は毎日色々な本を熟読していました。友人達が私の部屋に遊びに来ると、本棚を見て、「こんなに本を持っているのは、外大で稲垣ぐらいしか知らんわ。」と言っていました。英語でも日本語でも、本を読み込むことにより論理的な思考が鍛えられ、仕事をする上で役に立ちました。

英語を使って海外で仕事をしたい

入学当時は高校の英語教師を志望しており、英語の教職免許も取得しました。しかし、就活時には海外で英語を使って仕事をしたいと思うようになり、輸出比率の高い大手企業を中心に就職活動をしました。就活を続ける中で輸出比率が高く、海外事業に力を入れている大同メタル工業から内定を得ることができ、入社を決めました。父が製造業(日本ガイシ)に勤務しており、母も結婚まで父と同じ会社に勤務していたこともあり、小さい頃から製造業になじみがあったことも影響していたと思います。
卒業式
卒業式

本社の海外営業に配属。 そう思っていた入社面接

入社試験の最終面接では、海外業務や海外駐在に関しての質問が多く、本社の海外営業に配属になると思っていました。ところが入社すると国内自動車メーカー関係の事業部への配属となり、5月から東京営業所(現東京支店)に転勤になりました。当時の人事担当の方からは、「3年間東京で頑張ってください。その後に海外事業部に配属の予定です」と言われ、東京に赴任することになりました。(10年近く東京で勤務することになりましたが…)。

この様な状況で仕事をスタートしたのですが、国内営業を通して自社製品や技術の知識等、営業スキル全般を身につけることができました。国内営業で上司や優秀な先輩方から指導を受け、同僚と売上拡大に向けて切磋琢磨した経験は、その後会社で仕事をしていく上で大きな財産になりました。実際、アメリカやドイツで仕事をした際にも、日本で営業の仕事に従事し業務に精通していたことが自分を支えてくれました。仕事で実績を示すことにより現地でも一目置かれるようになり、早期に現地の会社になじむことができました。

アメリカでも、ドイツでも、日本に帰国の際には自分の所属していた会社だけでなく、お客様や現地で取引のあった商社の方々に送別会を開いて頂き、互いに別れを惜しみました。今でも当時の何人かとは連絡を取り合っています。現地の人達と協力して仕事ができたことは、とても良い思い出です。
Daido Metal USA Inc. 駐在時 デトロイトでの展示会にて
Daido Metal USA Inc. 駐在時 デトロイトでの展示会にて
アメリカ シカゴ郊外の自宅にて家族と
アメリカ シカゴ郊外の自宅にて家族と

いつまでも謙虚に学び続ける姿勢を忘れずに

今後は物流の知見を一層深め、物流コストの削減を目指すとともに、現在の会社で対応できる新しいビジネスを見つけたいと思っています。今後の我が社での事業活動が、大同メタル工業の将来の利益確保の一助になればとてもうれしいですね。今まで国内外の営業を中心に会社の主力事業に従事してきた関係上、大同メタル工業本体が開催する色々な会議に招集されることや、直接アドバイスを求められることも少なくありません。今まで私が培ってきた経験やスキルを、少しでも大同メタル工業本体に還元することができる様に、可能な限り協力していきたいと考えています。 いつまでも謙虚に学び続ける姿勢を持ち続け、語学だけでなく何事にも勉強を重ね研鑽を続け、自分の仕事や思考の幅を広げていきたいと思っています。

人間力が豊かな人生を築く

関西外大の学生の方は、製造業の分野に進まれる方は多くないかもしれません。ただ、モノづくり大国日本だからこその仕事のやりがいがあります。今はビジネスの世界も大きな転換期を迎えています。学生である今も、卒業してからも、常に勉強し自分の頭で考え自分を磨いてください。もし製造業に入社されるのであれば、物の作り方や製品の特性等をよく勉強し、この人は本当に何に対しても詳しいと周りから驚かれるくらい色々なことに興味を持ち、勉強を続けてください。そして、単に知識を詰め込むだけでなく、その知識を使いこなし、自分の考え方に磨きをかけ、その考えをビジネスで具現化できる人間力を身につけてください。きっと自分のキャリア形成を助け、仕事だけでなく豊かな人生を築くことに役立つと思います。

※発言は個人の見解であって、所属組織を代表するものではないことをお断り申し上げます。

掲載:2021年7月
日本人駐在1人勤務の時(Daido Metal Germany GmbH駐在時)
日本人駐在1人勤務の時(Daido Metal Germany GmbH駐在時)
Daido Metal Germany GmbHの部下達と
Daido Metal Germany GmbHの部下達と
ドイツキャベツ祭で
ドイツキャベツ祭で
仏 Mont SaintMichelにて
仏 Mont SaintMichelにて

稲垣 博英 氏 プロフィール

関西外国語大学卒業後、大同メタル工業株式会社に入社。自動車メーカーの国内営業(東京勤務)約10年、海外駐在約14年(アメリカ駐在約5年、ドイツ駐在9年)、日本の本拠地で自動車メーカー/建設機械メーカーの海外営業5年、生産工場での生産管理部門3年、本拠地での自動車メーカー/建設機械メーカー向けの国内外の本部総括部門の実務責任者として2年の勤務を経て、2020年4月より、大同メタル工業株式会社の関係会社である大同ロジテック株式会社、代表取締役社長に就任。
『平軸受け』というベアリング業界の中で、主に自動車や建設機械関連顧客に対し、エンジン部品を中心とした軸受部品に関する国内外の営業総括及び関係業務のマネジメント業務に従事。

【公式ホームページ】
大同メタル工業株式会社