遠藤 秀剛 氏
- エクセディインド株式会社
- 社長
- 遠藤 秀剛 氏
- 1990年 外国語学部 英米語学科 卒業

幼い頃から親しみがあった英語が、海外志向の原点に
海外や異文化に対して関心を抱くようになったのは、両親の所属する日本フィリピン友好協会の定例会に参加したことがきっかけでした。幼少期から頻繁に外国の方と触れ合うことで、気づいたときには英語に興味を持つようになっていました。それからアマチュア無線で海外の人と交信をはじめ、外国語でのコミュニケーションに楽しさを覚えた私は、本格的に英語を学ぶために関西外大に入学。対話力が最も発揮できる営業職としてアメリカで活躍できる日を夢見ながら、4年間を過ごしました。
卒業後は三洋電機株式会社(以降Panasonic 株式会社)で勤務し、家電の海外販売や海外工場の営業部長、新規ビジネスの立ち上げ、現地会社の副社長など、さまざまな任務に携わりました。駐在経験がある国は、イギリス、アメリカ、インド、タイなど多岐に渡ります。大学時代から抱いていた「アメリカで営業マンになる」という夢も、シカゴの販売会社にてスマート自販機の市場導入や、業務用厨房機器事業への参入を手がける形で叶えることができました。2024年から自動車用クラッチメーカー、株式会社Exedyのインド法人社長に就任し、現在に至ります。
卒業後は三洋電機株式会社(以降Panasonic 株式会社)で勤務し、家電の海外販売や海外工場の営業部長、新規ビジネスの立ち上げ、現地会社の副社長など、さまざまな任務に携わりました。駐在経験がある国は、イギリス、アメリカ、インド、タイなど多岐に渡ります。大学時代から抱いていた「アメリカで営業マンになる」という夢も、シカゴの販売会社にてスマート自販機の市場導入や、業務用厨房機器事業への参入を手がける形で叶えることができました。2024年から自動車用クラッチメーカー、株式会社Exedyのインド法人社長に就任し、現在に至ります。

言葉や文化の壁を超えるのは、真摯に向き合う姿勢と伝えようとする努力
入社して十数年目、アメリカで営業を始めた当初は文化や価値観の違いに戸惑うことも多くありました。日本では「察する」ことで伝わる内容も、アメリカでは明確に言葉にしなければ気持ちが伝わらない――いわゆるLow Contextの文化を肌で感じたのを覚えています。そこで心掛けていたのが、相手の立場や考え方を理解しつつ、自分の意見をはっきりと伝えること。時には言葉の壁に苦労することもありましたが、誠実な態度と一生懸命な姿勢が伝われば、文化が違っても信頼関係は築けるのだと実感しました。営業の基本はどの国でも同じです。しかし、相手の文化に合わせて柔軟に対応することで、本当の意味での「伝える力」と「信頼につながる営業力」を養うことができたと感じます。
人生の転機となったインドでの出会い
さまざまな国で駐在を経験しましたが、最も印象に残っているのはインドです。どこよりも「人と人とのつながり」を大切にしており、ビジネスにおいてもその信頼関係が基盤になっているというのは他の国にはない特徴でした。インドには「नमक खाया है, तो वफ़ादार रहना चाहिए(Namak khāyā hai, to wafādār rahnā chāhiye)」ということわざがあります。直訳すると「塩を食べたなら忠義を尽くすべき」の意味で、「恩を受けた相手には誠実であれ」という教えです。この言葉に象徴されるように、インドには人の温かさと誠実さを大切にする文化が根付いているのです。私が初めてインドに赴任したのは10年前。そのときに出会った友人たちとは、今も変わらず交流が続いています。そのつながりが忘れられず、定年前にもう一度インドで働きたいという思いが強まり、転職して現在の会社に就職しました。人との出会いが人生を導いてくれる――インドでの経験は、そのことを改めて教えてくれた大切な時間でした。
今の礎となるのは、英語研究会で培った対話力
私の大学時代を語るうえで、ESS(英語研究会)は欠かせません。時事問題をメインテーマに、学生同士でディスカッションをするという活動です。決して真面目な部員とは言えなかったかもしれませんが、討議の前日は徹夜で準備することもありました。当時は「大学は受験のご褒美で楽しむ時期」といわれた時代でしたが、私の場合、中高生時代よりよく勉強していたかもしれません。同じ志を持つ仲間とともに活動に打ち込み、悩みや苦労を分かち合えた時間は何よりの宝物です。運営にもかかわりながら、部の課題解決や部員のモチベーション向上に取り組んだ日々が今でも懐かしく思い出されます。
このときに培ったディスカッションのノウハウや英語での討議経験は、海外駐在時代の商談や会議の場で大いに役立ちました。そして今、インドでもその価値を実感しています。当社のインド人社員は自己主張が強い反面、時に建設的な議論が苦手な面もあります。そのため、相手の意見を尊重しながらも論点を整理し、前向きな方向へ導く「対話力」が求められるのです。学生時代に積んだディスカッションの経験が、まさに今の社員指導や組織運営の中で大きな助けとなっています。
このときに培ったディスカッションのノウハウや英語での討議経験は、海外駐在時代の商談や会議の場で大いに役立ちました。そして今、インドでもその価値を実感しています。当社のインド人社員は自己主張が強い反面、時に建設的な議論が苦手な面もあります。そのため、相手の意見を尊重しながらも論点を整理し、前向きな方向へ導く「対話力」が求められるのです。学生時代に積んだディスカッションの経験が、まさに今の社員指導や組織運営の中で大きな助けとなっています。


日本的経営の良さをインドにも
弊社は日本企業の中でも早くからインドに進出し、歴史を積み重ねてきました。その中で確かな基盤は築かれていますが、まだ日本的経営の良い部分が十分に浸透しているとは言えません。そのため、ミッション・ビジョン・方針を明確に示し、1,500名の社員一人ひとりが会社、そして自分の仕事に誇りを持てる企業文化を着実に育んでいきたいと考えています。
インドは今、高度成長の真っただ中です。当社が製造・販売するクラッチ製品がより多くの自動車やバイクに搭載され、国中を走り抜ける――その姿を通して、喜びをエンドユーザー、お客様、そして社員が分かち合える。そんな企業でありたいと願っています。
インドは今、高度成長の真っただ中です。当社が製造・販売するクラッチ製品がより多くの自動車やバイクに搭載され、国中を走り抜ける――その姿を通して、喜びをエンドユーザー、お客様、そして社員が分かち合える。そんな企業でありたいと願っています。
後輩たちへのメッセージ
これまで海外の人々と関わる中で、目標に向かって真剣に生き、制約の中でも努力を惜しまない姿を数多く見てきました。日本人ももっとハングリー精神を持ち、アグレッシブに生きるべきだと感じます。まずは、失敗を恐れずに挑戦を続けてほしい――その挑戦こそが成長の原動力となるでしょう。
昔と違い、今は外国人と接する機会も増え、英語を話すチャンスは格段に増えています。AIがどれほど進化しても、心と心をつなぐコミュニケーションは人間にしかできません。多くの人と会話を重ね、自分が興味を持てること、楽しいと感じることを見つけてください。きっとそれが自分の本当にやりたいことにつながるはずです。
海外駐在者でも英語で苦労される方は多いですが、関西外大出身の皆さんには大きなアドバンテージがあります。その強みを存分に活かし、世界を舞台に活躍してほしいです。そして何よりも失敗を恐れず、挑戦を続けてください。
昔と違い、今は外国人と接する機会も増え、英語を話すチャンスは格段に増えています。AIがどれほど進化しても、心と心をつなぐコミュニケーションは人間にしかできません。多くの人と会話を重ね、自分が興味を持てること、楽しいと感じることを見つけてください。きっとそれが自分の本当にやりたいことにつながるはずです。
海外駐在者でも英語で苦労される方は多いですが、関西外大出身の皆さんには大きなアドバンテージがあります。その強みを存分に活かし、世界を舞台に活躍してほしいです。そして何よりも失敗を恐れず、挑戦を続けてください。


